Oral Surgery
口腔外科

口腔外科

私は卒後一般医科研修を含め、4年間口腔外科診療に従事しました。通常、大学病院に紹介する親知らずの抜歯やのう胞の摘出(歯の先端にできる膿の袋状のもの)等も自院で行います。超音波骨切削器具(バリオサージ)を導入し、従来のタービン、ストレートなどの高速切削器具とは異なり、細胞レベルで骨を切削することにより、生体へのダメージを軽減します。(写真)粘膜切開手術もCO2レーザーを併用することにより生体へのダメージを軽減し、術後の痛みや腫れがでにくくなります。

【外傷】口唇の裂傷、歯の脱臼、亜脱
口腔外科

親知らずの抜歯(埋伏智歯抜歯)

BEFORE

before

左下8(親知らず)がかなり骨の下に埋まっている。

AFTER

after

局所麻酔下に埋伏した親知らずの抜歯を行った

CT画像

BEFORE

before

AFTER

after
主訴

左下親知らず付近の歯肉の腫れ

治療期間

1か月

費用

4,000円

リスク

術中の抜歯操作による
術後の下歯槽神経のしびれ
術後の痛み、顔の腫れ、内出血など

歯根嚢胞(のうほう)の摘出

BEFORE

before

左上2番の根尖部に嚢胞を認める

AFTER

after

根管治療後、嚢胞摘出術 + 逆根管充填 を行った数年後も再発はない。

CT画像

歯根嚢胞(のうほう)の摘出CT
歯根嚢胞(のうほう)の摘出CT
主訴

左上2番の歯肉の腫れ
(他院で抜歯の提案を受け、セカンドオピニオンで来院)

治療期間

2か月(その後の経過観察が必要である)

費用

約91万円

リスク

術後の細菌感染による
術中の感染源取り残しによる経過不良
術後の痛み、腫れ

BRONJ 骨粗しょう症治療薬(ビスホスフォネート製剤)による顎骨壊死

口腔内に歯周病や根尖性歯周炎などの慢性的な炎症が存在すると、発症するリスクがあります。またビスフスフォネート製剤を長期間服用中に抜歯などの外科的な処置を行うと、発症する場合があります。

 

 《予防方法》
・顎骨壊死部分の洗浄、消毒を図り、清潔を保つ
・抜歯約3カ月前からビスホス製剤の服用を中止する

BRONJ 骨粗しょう症治療薬(ビスホスフォネート製剤)による顎骨壊死

フラビーガム(浮動性の歯肉)の除去

アフタ性口内炎

ステロイド軟膏塗布、レーザー照射により、対応します

フラビーガム(浮動性の歯肉)の除去

顎関節症、噛み合わせ治療

口が開かなくなったり、関節の痛み、関節部の雑音等、顎の関節の症状を総称して、顎関節症と呼びます。症状に応じて治療法を選択していきます。顎関節症の原因は様々ですが、以前に歯の治療を重ねてきて、咬み合せの状態が悪くなっている場合や、歯牙の早期接触があり、本来の顎の位置と現在の咬み合せの位置がずれている場合や、不正咬合(上顎前突、反対咬合、過蓋咬合、開咬など)がある場合は、初期症状として顎関節の痛みや開口障害などの症状を緩和させた後、かみ合わせの治療(咬合治療)や矯正治療を行うことにより、顎関節が起こりにくい状態の歯と顎のバランスを作ることが出来ます。

TCH(tooth contact habit)

日中、安静時には通常では上下の歯は接触していませんが、歯が常に接触している状態ですごされている方で歯の感覚(歯根膜)の感覚が非常に敏感になっている方がいます。それにより、咬み合せに問題がなくても歯当たりが強いといった症状を強く訴えます。このような症状がある場合、咬合調整(咬みあわせの調整)をおこなっても一時的に、その場では軽快したと仰られますが、症状は改善することはありません。患者様の話を充分お聞きした上で、歯を離すよう心掛けるよう指導します。それでも改善が見られない場合は、神経内科などでの効うつ薬などの投薬を行うことで改善を見ることがあります。ある程度時間が必要です。

スポーツ用マウスピース

ラグビー、アメリカンフットボールなどのコンタクトスポーツ、ボクシング、総合格闘技などの打撃系競技では外傷により、前歯などを歯折する場合があり、外傷予防のためにマウスピースを装着する場合があります。
マウスピースの装着により、咬み合せの安定により、競技能力も向上するデータもあるようです。

スポーツ用マウスピース

オクルーザー

咬み合わせの状態をコンピューターで表示、分析を行います。

症状別治療法

顎の関節が痛い・・・・・鎮痛剤(痛み止め)処方
顎の関節が痛くて口が開けにくい、関節がひっかかるようで、口が開きにくい・・・・・マニュピレーション(顎の関節の簡単な整復)
(マウスピース)スタビライゼーション型スプリントによる顎関節の安静(1~3週間程使用していただきます。)
口を開閉する時に顎の関節の音(カクッ)が鳴る・・・・・(マウスピース)前方整位型スプリントの夜間使用

症状別治療法

当院で行っている、かみ合わせ治療、顎関節症治療

この項目では、かみ合わせや顎の関節の疾患について解説します。
それと、歯が多数無くなった場合のかみ合わせの再建(補綴治療)などについてもお話します。先ずかみ合わせが良くないと、いろいろな症状や問題が出てきますが、もともとのかみ合わせに対しアプローチする治療以外にも、歯ぎしりや顎関節症がある場合はその対応も診断や治療の範囲に入ってきます。そして歯が無くなっている場合は、かみ合わせのズレ、(下顎の偏位)や顎関節の問題も生じてきますので、それらを含めたかみ合わせの再建が必要です。
このように「かみ合わせ治療」(補綴治療も含む)というのは、下顎から連なる顎関節を含めた視点で治療にあたる、それから歯や顎関節に負担をかけるパラファンクション(歯ぎしりや食いしばり)を考慮して治療にあたることが多いのです。

よくある症状として、

 

1.かみ合わせの不調和で咬みにくい、奥歯が痛い、奥歯にものがよく挟まる、歯がしみる
2.かみ合わせがずれていることで、顎が痛くなったり、口が開けにくくなる
3.食いしばったり、歯ぎしりがあるようで、顎がだるくなったり、肩が凝る
4.歯並び、口元の形、バランスが気になる
5.歯が多数なくなり、咬みにくい、顔貌が気になる

などが代表的なものです。それらの症状に対し、治療の方向性を大別すると、

1→歯並びやかみ合わせの不調和を整えるための治療が必要

マウスピースを使用や咬合調整
その後補綴治療や矯正治療

2→顎関節症の治療が必要

初期対応-鎮痛剤の服用、徒手的整復(マニュピレーション)
その後マウスピースを使用
(疾患の原因がかみ合わせの要因が強い場合-矯正治療や補綴治療)

3→歯ぎしりや食いしばりへの対応が必要

マウスピースを使用

4→歯並びや見た目に対する対応が必要

矯正治療あるいは補綴治療

5→歯が多数無くなり、かみ合わせの再建が必要

補綴治療(インプラント、ブリッジ、入れ歯)


というように、だいたいの治療の方向性を理解していただけると思います。
そしてこれから個々の具体的な診断方法、治療方法について解説していきます。

診断

先ず患者さんの主訴を問診(1~5のような症状の有無、程度)し、どのような要素が強いかを検討します。それから次に1~5の症状に応じて必要資料の採得を行います。

 

初期の段階では、

パノラマレントゲン

パノラマレントゲン

顎関節部分のレントゲン撮影

顎関節部分のレントゲン撮影

歯型の採得

歯型の採得

次の段階では、歯型を咬合器にセット(かみ合わせの状態ある程度再現できるアナログ機械)し、かみ合わせの位置のズレや歯並び、上下歯の前後的あるいは水平的位置関係などを確認します。

スタディモデル

またセファロレントゲン(もともとは矯正診断用のレントゲン)撮影し、上顎と下顎の位置関係や骨格のパターン(顎態パターン)を把握します

セファロレントゲン

セファロレントゲン

顎態パターン

顎態パターン

治療

  • マウスピース

顎関節症:スタビライゼーション型スプリント
     リポジショニングアプライアンス
歯ぎしり:ハードタイプ
くいしばり:ソフトタイプ

  • 矯正治療
  • 補綴治療
マウスピース

かみ合わせに起因する疾患の予防的(治療)対策

小児期~青年期~中年期~高齢期においてかみ合わせの状態、発現する問題点などは異なりますが、実はかみ合わせの問題が発生する最初の時期、ポイントは、乳歯~永久歯に歯の生え変わりが起こり、永久歯列が出来上がっていく時期になります。(だいた6歳~10歳頃)この小児期(混合歯列期)に行う小児矯正治療はこれらの予防的治療として有効です。

思春期のかみ合わせに起因する問題として代表的なものに顎関節症があります。
この時期の予防としては、態癖に注意する必要があると思います。
あとはスポーツなどでおこる噛みしめなどによる顎関節痛があります。これはプレイ中(練習中)にマウスピースを使用することによって予防、症状の緩和を図ることができます。

青年期~中年期では歯ぎしりの問題や元々のかみ合わせの問題が、顎関節症や知覚過敏症の発現し易くなります。またそれらの問題が奥歯の歯根膜炎の症状(奥歯の歯の鈍痛など)として発現するようになってきます。
この時期の予防策としましては、日中の歯の食いしばりに留意し、日中に歯を話す癖をつけることです。
これは10年ほど前から学会でも報告されるようになった「TCH」(tooth contacting habit)とも関連があると考えます。これは常に歯を接触させて感覚をたしかめたりする癖のことで、歯の根の周囲の歯根膜の感覚が非常に敏感になり、通常許容できる範囲の上下の歯の接触に対し、非常に敏感になってしまう歯の感覚異常のような疾患です。
また夜間は自らコントロールが難しい歯ぎしりや食いしばりの問題があります。これに対する対策はマウスピースの使用です。またこの時期に矯正治療や補綴治療を行うことによってかみ合わせの負担のバランスを前後左右でとることができます。これも治療的予防の一環と言えると思います。

中年期~高齢期では、青年期~中年期で記載した問題が継続して起こると同時に歯にかかる負担が蓄積して歯の破折(歯根破折)が起き始めます。特にブリッジの土台(支台歯)の歯は治療完了から10年経つとかなり歯の破折のリスクが大きくなってくるというデータがあります。
また治療済みの経過不良歯の抜歯や歯周病の問題も相まって(歯周病罹患歯は歯の移動が起こり、かみ合わせが崩れてくる)かみ合わせが崩れてきます。これは歯科学術的に「咬合の崩壊」と呼ばれています。この状態を長期間放置すると、歯の再建に多大な労力を要することになります。欠損(歯がなくなる)が発生した時にそれを補填するいわゆる補綴治療を行い、多数歯の欠損を放置しないことが咬合の崩壊を予防するのに有効です。

ここで、歯の欠損を補填する補綴治療の方法ですが、保険診療で患者さんが最も選択す頻度が高い「ブリッジ」の方法は、歯にかかる負担が最も大きいです。最も歯に負担がかからない方法はインプラントということになりますが、金銭的に余裕がない方は、一度取り外し式の入れ歯を選択するのもひとつの方法です。
(少数歯の欠損の場合)
多数歯の欠損で、問題を解決するのに適している方法はやはりインプラントではないでしょうか。高額な診療にはなりますが、思い切ってインプラントを使っていくと、かなりかみ合わせも安定してくると思います。

顎口腔系の筋肉痛が主体の痛み マイオモニター

顎関節症の原因は様々ですが、
以前に歯の治療を重ねてきて、咬み合せの状態が悪くなっている場合や、歯牙の早期接触があり、本来の顎の位置と現在の咬み合せの位置がずれている場合や、不正咬合がある場合は、かみ合わせの治療(咬合治療)や矯正治療を行ったほうが良い場合もあります。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時に下顎が下方にさがることにより、気道の閉塞が起こり易くなり、無呼吸状態になることがあります。睡眠時無呼吸症候群が原因で日常生活のトラブルが起こる事例があり、一時期、社会問題になったこともあります。
歯科的な治療としては、下顎を前方に位置させるようなスリープスプリント(写真)を夜間就寝時に装着して頂き、就寝時の気道の閉塞を防ぎます。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠中に断続的に無呼吸を繰り返す状態のことを指します。Sleep Apnea Syndrome(SAS)と言います。

医学的な診断としては、7時間の睡眠中に30回以上の無呼吸がある(10秒以上の呼吸の停止)、または1時間あたりに5回以上の無呼吸がある場合、睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断されます。睡眠中に無呼吸が生じると、日常の起きている時の活動に様々な支障が来たす可能性があります。この疾患は自身では気づきにくいのが特徴です。

この無呼吸が起こる要因は

1、呼吸中枢の異常による中枢性睡眠時無呼吸(CSA)
2、上気道が物理的に狭くなって起こる閉塞性睡眠時無呼吸(OSA) (全体の割合としては、約9割はOSA)
の2つに大別されます。

歯科に関係の深い、2の閉塞睡眠時無呼吸症候群性につて解説しますと、上気道の狭窄(スペースが狭くなる)は、首、喉など起動周辺の脂肪量の増加、扁桃腺の肥大、舌根(舌の付け根)の沈下などによるもの多いです。
歯科的な骨格的な診断として、骨格的なⅡ級傾向、上顎前突(上顎に対し下顎が奥に下がっている)骨格の場合に気道が狭窄し易く、無呼吸が起こりやすくなる傾向があります。
その場合、歯科での治療として睡眠時無呼吸用のマウスピース(スリープスプリント:下顎を前方に位置づけて気道を広くするタイプのマウスピース)を使用する治療法があります。(軽度~中等症が適応で、歯科の保険適応範囲内です)


下のグラフは、スリープスプリントなしとありで睡眠の状態を比較したものです。

スリープスプリントなし

スリープスプリントなし

スリープスプリントあり

スリープスプリントあり

*スリープスプリントありの方が濃い青の深い睡眠時間が多く、青の浅い睡眠時間が短い

睡眠時無呼吸症候群の診断は、一般的に耳鼻科、内科、呼吸器科などで行う精密検査である「睡眠ポリグラフ(PSG)」を行い、重症度などを診断してから治療方法を選択するのが流れです。最も普及している治療としてCPAP療法(経鼻的的持続陽圧呼吸療法)があり、重症の場合は当方法が有効で、医科での治療になります。歯科の治療法であえるスリープスプリントとの使い分けは、症状の程度、CPAPで用いる装置が使えない、などです。
その他の治療法としては外科手術があります。
気道を閉塞の原因になっている扁桃や軟口蓋を摘出したり形成したりする処置の他、歯科的な治療として、いわゆる外科的矯正治療の要領で下顎の骨切り手術で気道を拡げる治療があります。実は近年の歯科矯正治療の大きなトピックとして、この「気道の拡大」があり、外科的矯正治療のみならず、通常の歯科矯正治療においても、検査項目として気道のチェックが行われる機会が増えています。

オーラルメディシン(口腔内科)

オーラルメディシンとは、

(対象疾患)

粘膜疾患

金属アレルギー

歯科治療では様々な種類の金属が使用されており、金属アレルギーを引き起こす場合があります。手足や体幹の発疹や口腔粘膜の荒れ、アトピー性皮膚炎様の症状など、症状は様々です。金属を除去し、金属以外の材料(レジン、セラミックetc.)に替えることにより、症状が改善する場合があります。診断には通常パッチテストを行います。

掌蹠膿疱症

口腔乾燥

訪問診療

総合病院での有病者に対する歯科治療、茨城取手時代の訪問歯科治療の経験を生かし、障害や病気、高齢により寝たきりになり、通院が困難な患者様を対象に、携帯用歯科ユニット(ポータブルユニット)を持参してご自宅にお伺いし、歯科治療をさせて頂きます。歯科医院で行う治療に近いレベルの治療を提供することが可能です。(現在は当院通院中、または当院通院歴のある方に限らせて頂いております)治療の内容:虫歯、歯周病治療、歯石除去、口腔内のクリーニング(口腔ケア)抜歯、冠やブリッジの作成、義歯(入れ歯)の修理、作成

症例集

かみ合わせ非対称

BEFORE

かみ合わせ非対称before
かみ合わせ非対称before
かみ合わせ非対称before

AFTER

After
After
After
After
After
After
After
主訴
・かみ合わせのズレ(左)
・顔のゆがみ
治療期間
約2年
費用
40万円+税
リスク
・矯正処置毎に歯肉の退縮(下がる)
・知覚過敏症を発症することがある