Maeda Dental Clinic まえだ歯科

Doctor's Column
院長コラム

Er.YAG(エルビウムヤグ)レーザーナイトセミナーに参加してきました

 2/9(木)夜に、和歌山市ト半町にある、(株)MORITA和歌山支店で、1時間半程のナイトセミナーに参加してきました。
簡単な講義のあと、レーザー機器のデモ、その後、各出席者一人ずつ、鶏肉を使用したレーザーの実習を少し行いました。

 現在、当院では炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)を使用しています。適応は、歯肉の切開、
蒸散による殺菌、血餅(血のり)の凝固による止血、血餅の保持(かさぶたのような作用)、口内炎への照射、歯肉のメラニン沈着の除去などです。他にも使用用途はあると思いますが、当院ではこのような処置を中心に適用しています。

 Er.YAGレーザーは、上記の処置に加え、硬組織(歯)を切削することが可能です。いわゆる虫歯の治療に用いることが可能です。タービン(歯の切削にしようするエンジン)回転時のキーンという音、衝撃などがありません。
超音波を使用して除去していた歯石なども、このレーザーにより取ることができます。同時に殺菌も行われます。超音波機器のガリガリ削るようにして歯石を取るのが苦手だという患者さんに適しているかもしれません。

 また、このレーザーで適用される処置として有用であるといわれているものに、歯周病、インプラント周囲炎に対する外科的処置があります。
歯周病に対して行われる、歯周外科処置において、炎症がおこっている肉芽(にくげ)組織を徹底的に除去する掻爬(そうは)といわれる処置があります。肉芽組織の除去は歯周病細菌により、溶かされて無くなった骨の周辺や歯根面にこびりついていて、完全に除去するためには、処置時間がかなりかかりますが、Er.YAGレーザーを用いると、肉芽をはがすようにとることができ、また、通常の器具などでは届きにくい細かい部分まで、専用の細いチップをアクセス、レーザーを届かせることができます。掻爬にかかる時間もかなり短縮されます。
 

 そして更に、歯周外科処置をライトに(軽めに)行うようにしても、ある程度の効果が得られるようです。これは、通常は歯肉を、剥離(はくり)、(はがすこと)しますが、歯肉を剥離しないで、レーザーのみの処置を行うということです。従来よりも侵襲の低い(術後のダメージが少ない)歯周外科処置ということになります。
(しかし、やはり確実な効果を期待するのであれば、歯肉は開き、肉眼で術野を確認できる状態でレーザー処置を行うほうが良いとされています。)
 

 また、インプラント周囲炎についても有効性が報告されています。インプラントの場合は、インプラント表面の細菌が付着している、インプラント体表面のコーティング部分をはぐようにして除去し、殺菌します。近年のインプラント表面は、そのほとんどが粗面(ザラザラの面)になっており、インプラント埋入後、表面に骨の細胞が付きやすい表面加工になっているのですが、逆に、粗面の部分は、細菌も付着しやすい構造になっています。これが、現在のインプラント表面性状である、粗面の欠点です。Er.YAGレーザーは、このコーティング部分を直接はがすのに非常に適しています。
最近では、根管治療における、根管内の清掃、殺菌にもよく用いられるようです。
 
 当院でも、このレーザーの有効性を理解した上で、このEr.YAGレーザーを近いうちに導入する予定です。
当日はMORITAの社員の方々、夜遅い時間まで本当にありがとうございました。

                                      Er.YAGレーザーは、組織の表層のみに作用し、周囲組織へのダメージが少ない

                                    また、CO2レーザーのように、炭化層が形成されないので、照射部分は黒くならない

ノーベルバイオケアシンポジウム2017

  秋のはじめ頃、東京、日本橋のベルサール東京日本橋で行われたノーベルバイオケアインプラントシンポジウム2017に参加してきました。
会場に着くといつも担当して頂いているノーベルバイオケア営業の茗荷谷(みょうがや)さんが、会場の入り口で出迎えたくれました( ^^)

ノーベルバイオケア社は、デンタルインプラントの開発者である故ブローネマルク博士が世界で最初に使用したルートフォームタイプのインプラントである、ブローネマルクインプラントを製品展開した、最も歴史があり、発展を続けている、業界のリーディングカンパンパニーであります。インプラントの販売においても、全世界で常にトップ3以内のシェアを維持しています。また、ガイドを使用したインプラント手術「ガイデッドサージェリー」を業界ではいち早く導入し、成果をあげているインプラントメーカーでもあります。

この、「ノーベルガイドシステム」は、症例の適応の広さや治療精度において、歯科業界においても安定した高い評価をうけているように思います。

特に多数の歯を失った場合(多数歯欠損)や歯を全て失った場合の(無歯顎)インプラント治療においては、手術用ガイド(サージカルガイド)を歯肉に安定させるためのアンカーピンシステムを確立し、ガイデッドサージェリーの初期から、特に多数歯欠損や無歯顎欠損のインプラント治療において実績を積み重ねてきております。

                     ガイド(青)を固定する アンカーピンシステム

 3年前からは「スマートフュージョン」のシステムがラインナップに追加され、少数歯欠損のインプラント治療においてより簡便に、精度の高いガイドが作製できるようになってきております。撮影したCTデータと患者様の歯型(模型)とスキャンしたデータをPCソフト上でマッチングし、写真のような状態でインプラントシミュレーションを行うことが出来ます。

それにより、アバットメント(土台の部分)と最終上部構造(完成の歯)の形態や、セメント固定やスクリュー固定などのシステムも事前にPC上で仮想することが出来、患者様への説明の際も視覚的にイメージして頂き易くなります。手術後の歯を作製するシステムである、CADCAMシステムの「Nobel Procera」も、製造される補綴物(歯の部分)の精度は、他社システムと比較しても、精度が高いという点について、9月に参加した別のインプラントのセミナーで、ある高名なDr.が言及されていました。

    スナートフュージョン システム    赤(歯肉)  青(作製予定の歯) 

               CT画像上でのプラニング      白(アバットメント(土台の部分))の設計

                    

                   

                       ☆シンポジウムのプログラムです。

                          メインプログラムⅠ

                 診査診断 – 今診るべきもの診えるもの
                 デジタルソリューション – 臨床実践と最新ワークフロー
                 硬組織・軟組織マネージメント – サイトディベロップメントの考え方
                 インプラント周囲炎 - 予防マネージメントを考える
                 即時治療 - 確立された治療ソリューションの現在
                 臨床結果を変えるシステマティックな補綴コンセプト
                 超高齢社会におけるインプラント補綴の考慮

                           メインプログラムⅡ

                 多数歯欠損・無歯顎治療への戦略的アプローチ
                 歯科技工士向けセッション
                 歯科衛生士向けセッション

                           

                           実習付きコース

                  審美領域におけるインプラント補綴
                  骨増生、歯肉の増生など
                  FCZ (Full Contour Zirconia)
                       -インプラント上部構造(歯の部分)を全てジルコニアで作製するシステム

                    プログラムは以上、ざっと以上になります。

                            メイン会場

         *シンポジウム感想*

  このように、シンポジウムは全体的に凄くバランスの取れた内容になっています。この内容からも、ノーベルバイオケアのインプラントシステムがトータル的にバランスがとれていて、様々な症例に対応していけるシステムであるこが窺えます。そして、最近のトピックとして、インプラント周囲炎の問題、デジタルルソリューション、上顎臼歯部のインプラント治療時の問題点として、副鼻腔に対しての耳鼻科領域からの視点や考察などが、印象に残りました。
また、高齢化社会における、インプラント治療のあり方および治療法と、インプラント治療を行う際の患者さんの全身状態の把握なども、近年の歯科治療全体に通ずる内容としても注目が高かったと思います。 

 業者のブースでも担当の茗荷谷さんの案内のもと、新商品の説明なども丁寧にして頂きました。茗荷谷さん、会場の設置などで朝も早かったとのこと、本当にご苦労様でした!((´∀`*) 
インプラントに限らず、歯科業者の方々は、自分たち歯科医院経営者にとって、普段から本当にお世話になっている、大切な存在です。商品や機材の販売、修理などは勿論のことですが、その周辺にある、商品説明、詳細の検索、情報の提供やスタッフ教育、研修に至るまで、トータルで歯科医院を支えてくれる、なくてはならない存在です。ある意味、自分たちが知らないことも知っている、そういう面があることも否定はできないです。。
 特にインプラントについては、細かい部品(コンポーネント)ありきの治療であるため、そういったものが変更になったり、アップデートされたりすることや、業者主導でシステムが構築されている(勿論、研究段階~臨床治験などを経て、製品化されている訳ではありますが、)ことを考えると、日常のインプラント臨床において、業者さんと我々Dr.は、お互い密に連携を取り合っていく必要があり、まさに、共に歩んでいく「インプラント治療におけるパートナー」といっても過言ではないでしょう。
1~2か月に1回は、ダイワロイネットホテルの1階のお蕎麦屋さん「信濃路」さんで、茗荷谷さんと昼食を取りながら、インプラントについての打ち合わせを行っています( ^^)

インプラントに限らず、歯科関連業者の方々、その周辺の方々は、本当に大切にしたいものです。当院のスタッフにもこれらのことをいつも話して、業者の方々への挨拶や対応をしっかり行うよう伝えています( ^^)

近々、またシンポジウムのパートⅡを院長コラムにアップしたいと思います。


                  ノーベルバイオケア商品説明のブース

  

     

歯科用CTとマイクロスコープを連動させた根管治療

他院で治療した根管治療のセカンドオピニオン、再治療希望の患者が当院において最近かなり多く来院されます。

症状としては
他院で根管治療期間中に発生した痛みがなかなか取れない、
治療中の部分に膿の出口ができて(腫れて)治らない、などです。

このような症例を再治療させて頂き、当院では

「歯科用CTとマイクロスコープを連動させた根管治療」
穿孔部を封鎖する「MTAセメント」

を効果的に活用することにより、
転院されてきた患者さんの8割ほどは治癒に導いております。

このような根管治療予後不良症例を数多く診させて頂いているなかで、いくつかのパターンがありますので、今回それらをまとめてみました。

1本当にごく基本的な根管清掃、拡大を行っていないので根尖病巣が治癒しない
2清掃器具が根管の中に入っていく道を作れていない(根管内の清掃ができていない)
3歯根が折れている
4また根管内の清掃はなされているが、根尖を刺激しすぎて、根の周囲の歯根膜に炎症を起こしてしまい、咬むと痛みが出るなど
5あと、咬合(噛み合わせ)の要因で、持続的に刺激が加わり痛みが取れにくい場合などもあります。
また種類は違いますが、噛み合わせに関連するものとして、根分岐部病変というものがあります。(6に書きます) 

6歯周病が進行しており、根尖病巣単独ではなく、歯周病で骨の欠損が進行した部分と根尖病巣が繋がってしまっているような場合があります。
根分岐部病変ですが、根尖病巣ではなくて歯周病の一症状として発現する場合や根分岐部に穿孔を来したり、あるいは根尖病巣が根分岐部まで拡大している場合など

原因が多岐にわたります。

このように、いくつかの治癒しない原因があります。

詳細を解説しますと、

1はしっかりと丁寧に清掃拡大をすれば治癒していきますが、このように治らない原因は術者の技量や、その歯科医院で根管治療にしっかりと時間をかけていないのが主な 原因であると思われます。
2は根管が曲がっていたり(湾曲根管)、細かったり(狭窄)、根管清掃に使用する器具であるリーマー、ファイルなどが根管治療中に入らなくなり、道に沿って進んでいかない、その結果根尖付近に細菌起炎性物質が残存し、化膿が収まらない。あるいはもともとの根管ではないところにエンジンやリーマーなどで穴をあけてしまい(パーフォレーション)その部分が化膿してしまっている場合などがあります。  
→根管が開かない(道が作れない)場合はもとも詰めていた根管充填材を取り除いた後にマイクロスコープで根管を探索しながら道を掘り進めます。そそまま無理に掘り進めるとパーフォレーションをおこす危険性があるため、道が開かない場合はこの時点でCTを撮影して、どこまで掘り進めているかを確認します。このようにマイクロスコープは根管内、CTは根管内と外の位置関係を把握するように連動させて使用することによって、パーフォレーション(穿孔)させないようにして根管の道を作っていきます。
 湾曲根管などの場合は、細いファイルで根管の先端まで道を作った後の根管拡大操作をNi-Ti(ニッケル・チタン)ファイルで行うと、非常に作業効率が上がります。

3も、マイクロスコープとCTによって破折部分の確認を行います。根が折れている(歯根破折)、ヒビが入っている(クラック)場合は基本的にその歯を残すのは難しいです。

4は清掃拡大の技量の問題で、根管拡大作業はいくつかの原則があり、原則に則ったファイリング操作(基本的な根管清掃器具の操作)ができていないとよく起こりうること です。

5は咬合のずれなどを確認し、ぐっと噛み合わせた後、負担が集中していないか、夜間の歯ぎしり、日中のくいしばりなどのいわゆるパラファンクションなどがないか確認 し、マウスピのース使用などで患歯への負担を軽減します。
6はいわゆるエンド・ペリオ病変といわれるもので、歯周病と根尖病変部分の病巣が繋がっているため、歯周病単独、根尖病巣単独といったものよりも状況はかなりシビア です。
このエンド・ペリオ病変はいくつかのパターンに分類され、そのパターンに従って治療を進めていくことになりますが、治療順序としては原則、根管治療が優先です。

因みに、この中で出てきた「マイクロスコープ」、「MTA」、「Ni-Ti」ファイルは、近年における根管治療の3種の神器と言われています。

そしてその他に、根管治療中に根管清掃拡大器具であるリーマーやファイルが根管内で折れてしまい、根管内異物として残ってしまう症例があります。
このような患者さんがセカンドオピニオンで当院を受診されるケースも多いです。
このような場合、前医から「根っこの中で器具が折れて残っています。折れた器具がすごく小さく、取り出すのが困難です。これが残っていると治らないので抜きましょう。」あるいは、折れた器具などは存在していない症例であっても、「こちらでは破折器具を取り出せないので、根管治療をご希望の場合は、他の医院で治療してもらってください」などと説明を受けられていることがあります。
 これは私の目からみると、手間がかかる根管治療を最初から行う意思が乏しく、早く抜いて、次の治療(インプラントなど)に移行しようという感じが見て取れます。こういう説明を行っている医院は、インプラントなどの高額診療を大々的に宣伝している場合が傾向として多いように感じます。
私はこれは非常に大きな問題として捉えており、敢えてここで警告を鳴らす意味で書かせて頂きます。

 あと、破折器具が根管内に残留しているようなケースでも取り出す必要がない場合もあります。破折器具が残っている歯根の先端に根尖病巣が存在するような場合は取り出す必要がありますが、このような場合もマイクロスコープと破折器具除去専用の超音波チップを駆使し、拡大視野で処置を行うことで破折器具を取り出すことが可能で す。

 これらの治療で治癒しない場合は、最終的な処置として、歯根端切除術などの外科的対応(手術的対応)を行います。
私も根管治療の技術が未熟であった頃は歯根端切除術を行う機械が多かったのですが、最近は根管治療のみで治癒することが多くなり、当院における歯根端切除の適応症例は、根尖病巣が大きく、経過が長くなっているようなケースに限られてきました。

 根管治療で根尖病変が治らない、歯根端切除術を行う外科的スキルを持ち合わせていないDr.は基本、臨床症状がない場合は経過観察、痛みや歯肉の腫れや膿の出口がふさがらないなどの症状がなくならない場合は患者にその歯の抜歯を宣告することになり、転院の機会を作ってしまうことになります。
 今回書かせて頂いた通り、根管治療をしっかり行っていくと、根尖病変は治っていく場合も多いのです。
根管治療の経過が良くない方は、今回の記事を是非、参考にしていただければと思います。

新型コロナウイルスに対する患者および院内感染対策

新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言が全国に一斉発令して3週間、現時点では宣言解除に足るだけの感染患者数の減少を認めないとして、先日約1か月の期間延長が政府からアナウンスされました。
感染者の増加による医療崩壊、自粛要請による経済の破綻などすぐには解決が図れない大きな問題が浮上しておりますが、未だ感染の長期化が予想され、感染の縮小と経済の両立が現時点での大きな課題となっています。今後、経済、社会活動の立て直しについての出口戦略に向けて政府は動き始めると思いますが、感染終息についての出口はまだ見えない様に感じます。
歯科医院におきましては、医療機関として、口腔の健康を損なわないように診療を継続して行っていく役割(必要性)があり、当初から、政府より基本的に自粛要請などは出ておりません。その中で、厚生労働省から新型コロナウイルス院内感染対策についての指針が出され、各都道府県歯科医師会などを通じて各病院、歯科診療所に通達がなされました。
通達の内容としましては、簡単にお伝えしますと、スタンダードプリコーション(標準的感染予防措置:後述)に加え、飛沫感染、接触感染に留意して、患者数の制限を行いながら診療にあたること、特に歯科用切削器具、超音波機器による飛沫感染が大きな問題であり、その対策を取るよう通達がされました。(後述部分あり)

その中で歯科診療行為によって、感染が起こりうるリスクは勿論ゼロではありません。
診療行為は数十分単位で、かなり近い距離で密接して診療を行う、いわゆる濃厚接触にあたり、また飛沫感染という歯科特有の感染の危険もあることから、普通に考えるとリスク(患者、医療従事者間双方において)としてはかなり高いと思われます。
しかし幸いにして現状では診療行為によって患者が感染したという報告はニュースなど様々な媒体から得られる情報として、未だ耳には入ってはきておりません。
このような状況下では、基本的事項を尊守したうえで、一定期間毎に中間中間で我々が行っていることに対しても検証を行っていき、その状況に応じた対応をスピーディーに行っていくことが大切です。我々も常にアンテナを立てながら、対応にあたっております。
そして患者さんは勿論のこと、当院のスタッフ、私自身も新型コロナウイルスの感染から守っていかなければいけません。

<スタンダードプリコーション>
そのようなリスクのある中で歯科診療行為によって目立った感染が起こっていない要因はどこにあるのでしょう?
先ず基本的に、歯科医院においてはスタンダードプリコーション(感染症の有無にかかわらず全ての患者を対象に、血液、体液、分泌物、損傷のある皮膚、粘膜は感染性病原体を含む可能性があるという原則に基づき、手指衛生や個人防護具の着用など感染リスクを減少させる予防策のこと=標準予防措置策)に基づき、患者および院内の感染対策は普段から十分に行っております。診療中のアルコールによる手指消毒、グローブ、マスクの着用、状況に応じたゴーグルの着用は基本です。
先ず、このスタンダードプリコーションが、感染のリスクをかなり減じていると考えます。
しかしそこから更に、今回の新型コロナウイルス感染の特徴を掴んだ対策が必要であるのです。前述の厚生労働省、歯科医師会より通達された通り、新型コロナウイルスの感染経路が「接触感染」と「飛沫感染」であることを考慮し、このような標準的院内感染予防を基に、当院における感染予防対策として追加したことを、ここからは書いていきたいと思います。

1<接触感染対策>
患者来院時(診察券などを出してもらう前に)、お会計終了後にアルコール手指消毒を行ってもらっていること。→これは新型コロナウイルスが手に触ったものから感染が起こる、いわゆる接触感染が経路になっていることによります。
受付待合室の閲覧物、共用物の使用制限、トイレ、洗口コーナー、受付ドアなどの接触感染のリスクのある部分の定期的なアルコール消毒も実施しております。
これは院内医療従事者が使用する医療機器のスイッチ、電話など、使用頻度の高い共用物についても同様であります。
その他、基本的なことではありますが、器具などを収容している棚のノブなどを患者の口腔内を触った手でグローブ着用のまま開けたりしないことなど、スタッフにも今まで以上に徹底するよう周知しております。

2<飛沫感染対策>
それから治療前に患者の体調のチェックを行った後、イソジンによる含嗽を行っていること。→これは歯科医院特有のリスクとしての、エアロゾル対策のためです。含嗽剤は、新型コロナウイルスを不活性化させる効果のあるものを選択しております。
エアロゾルとは、歯を削る機器である「タービン」や、歯石除去などに使用する「超音波」を使用した際に発生する「飛沫」のことで、この飛沫が空気中に浮遊し、感染のリスクが生じるといわれています。普段から行っていることでありますが、切削による飛沫を吸引する口腔内、口腔外バキュームを必ず使用しております。
またそれとは別に、エアロゾルに対し、「空間除菌」という概念で、次亜塩素酸水の噴霧器を設置し、対策を行っております。近々、オゾンによる空間除菌器を追加で設置する予定です。GW明けには術者はフェイスシールドも着用予定です。
3<3密の回避>
そして患者が待合室で密集するような状況を避けるための予約の制限を行っております。当院は全室個室になっている(各部屋には窓があり、窓は開けて換気を徹底している)ため、患者さんが来院したら待合室が混まないように、空いている診療室で待っていただくよう工夫し、患者さん同士が待合で密集しないように工夫しております。
これは、解釈が難しい部分もありますが、当日に予約外において、緊急性の乏しい歯石の除去や小さい虫歯の治療を行うことなどはやはり現状は処置を控える必要があります。

この3点を追加し、しっかりと実行することにより、院内の歯科診療において患者⇔医療従事者間で感染が起こるリスクをかなり下げられると考えました。

当院では歯科医師会からの通達、特別警戒区域で診療に従事している歯科医師からの情報、県内外の友人歯科医師からの情報、新聞、ニュース、ネットなど、幅広い情報を元に、よく検討した上で、このような追加の感染予防の実施を全国に緊急事態宣言が発令されると同時に開始しました。

4<院内クラスター発生予防対策>
そしてもう一点は、医療従事者が外部から院内に感染を持ち込み、院内医療従事者の間でクラスターが発生するパターンがあります。実は歯科医院で感染が確認されているパターンはこれが殆どのようです。
この対策として院内医療従事者の体調管理の徹底、特にスタッフの休憩場所での3密の回避、Dr.、スタッフの制服の消毒、会計処理後のスタッフの手指アルコール消毒の徹底など、医療従事者間で接触感染、飛沫感染が起こりうる部分を、院長である私も含め、スタッフにもよく理解してもらい、徹底的に回避するように対策を強化しております。
*(1<接触感染>の内容も含む)

緊急事態宣言が7都道府県に発令された当初は、歯科治療においても当該地域の歯科医師会などから、可及的に、緊急性の有する処置のみに限定して治療を行うことを考慮する旨の要請がでていたようですが、自粛期間が長期化してくると、治療を延期している部分に問題が出てきたり、なかなかそうはいかない状況もでてくるでしょう。先が見えないままの状態でいつまで治療を延期すればよいのか、そのように考えている歯科医師も少なからずいるはずです。
そのような経緯から、和歌山のように感染がある程度抑えられている地域では、尚更、治療の制限をつけることは得策ではないのではないかと感じていました。診療の範囲をどこまで制限するかについて、いろいろな情報や周囲の状況を確認し、最終的には和歌山県歯科医師会から緊急性の少ない治療の範囲について、最終的な判断は各個人の先生方の判断に任せるとの通達の旨を確認し、当院ではエアロゾル対策をしっかりととりながら、治療延期により状態の悪化が懸念されるような、虫歯、根管治療、歯周病治療、補綴治療は、現在継続している治療に関して継続して治療を行っていく方針としました。状態が安定しており、これから治療していこうとしているような治療においては、患者さんとお話しした上で、一旦延期しております。
メンテナンスについては、高齢者の方は感染した場合の死亡率が高いハイリスクの部類に入るため、状況をみながらメンテナンスの期間を延長するように調整しております。但し、義歯を装着されている方は義歯の調整が必要になることも多いので、定期的に来院していただくケースも多いように思います。逆にインプラントのメンテナンスの方は状態が安定しておりますので、このような患者さんから、患者さんご自身でメンテナンス期間延期の連絡がはいることも多く、患者数の制限に繋がっております。
インプラントなどの手術に関してはこの1か月は制限しておりましたが、5月下旬以降、感染状況をみながら、手術の予約を入れていきたいと考えております。その場合も、他の患者予約は入れずに、院内を貸し切り状態にして、手術を行っていくことを予定しております。

GW中日、5/4に政府から緊急事態宣言の1か月の延長についての声明が発表されました。この声明では、感染拡大のための施策について、感染縮小について、現状一定の効果は出ているが、その中で経済への打撃が深刻であり、向こう1か月間をその立て直しのため準備期間に充て、宣言の緩和、解除に向けて対策を立てていく。そして継続して感染予防を行っていく、としています。

これは、感染終息にはまだ時間を要するが、緊急時事態宣言解除という一旦の収束を図ったのち、その後も感染予防は続いていくということです。新たな感染拡大を抑えつつ、社会活動、経済活動を立て直していく。このように、ステージは暫くの間、いわゆるwith corona (コロナと共存していく)という方向性で進んでいくでしょう。
政府からも接触感染、飛沫感染を考慮した、3密を避ける「新しい生活様式」についての提案がなされています。

このような状況下でやはり最も大切になってくるのが、
今日書かせていただいた、「患者および院内感染対策」であると考えるのです。
with coronaの時代、この「患者および院内感染対策」をしっかりと実行し、感染を抑えつつ医療崩壊の抑制、社会経済活動を両立していく。その期間に、コロナ治療薬、ワクチンの開発が進み、あるいは集団免疫の獲得が進み、世界全体が感染終息に近づいていくことを願って止みません。

当院において少なからず感染のリスクを負いながら、患者の処置にあたってくれている当院の歯科衛生士2名、受付会計対応、院内感染予防関連用品などの管理を行ってくれている2名の歯科助手に感謝の意を述べるとともに、新型コロナウイルスの感染が起こらぬよう院内感染予防を継続していきたいと思います。それから3年間勤務してくれて、2月で退職、関東へ転居された歯科衛生士の健康を願っております。
そして最後に、通院されている患者様への新型コロナウイルス感染予防対策を、今後も徹底していくよう最大限の努力を行ってまいります。
それから、患者さんからのマスクの差し入れや、親戚からのアルコール系消毒類などの差し入れを頂いております。本当に感謝いたします。

今年の抱負

少し遅くなりましたが、本年も宜しくお願い申し上げます。
気が付くと、あっという間に2月になってしまいました。。
本当に早いですね~!

年明け新年仕事はじめの1月は、急患、新患の患者さんの対応もあり、また、また和歌山市一部地域でアナウンスされた断水騒動で当院も断水予定区域に入っており、その対応に追われ、なかなか忙しい1か月となりました。
年末年始は長めのお休みを頂き、ゆっくりしたり、遠出したりしてリフレッシュするとともに、本年の展望、改善点などの時間を取って考えることが長期休暇中の恒例となっています。
さて、今年はどういうことをやっていくのか。先にタイトルをつけておきます

 1 スタッフ教育(特に歯科衛生士)
 2デジタルデンティストリー
 3Er-YAGレーザー
 4ノーベルガイドプラニングセミナー

それらを書く前に、まずは昨年を振り返ることから始めたいと思います。
1、一昨年は、以前にブログでも書かせていただきましたが、医院の業績としましては開業以来過去最高の業績を上げることができましたが、今年もその波に乗って、一昨年とまではいかなくとも、ある程度の業績維持を図ることが出来ました。
昨年を振り返ってみて、一番のポイントとして、業務内容がスムーズにいくと自ずとうまくまわっていくのかなということを、改めて感じています。
その過程において、歯科衛生士の業務、処置についての教育が進んだことは1つ大きなことです。この項目については、また別で書きたいと思います。

2、そして、歯科医療においてもインプラントや、補綴(歯や噛み合わせを作製、つくりあげていく作業)、矯正治療の分野でデジタル化がかなり進んできました。
 当院も年末に患者さんの歯型を取って作製する石膏模型をスキャニングする機械を購入し、年明けから、デモを数回にわたり受けた後に、歯科技工所を経由しないで歯を作製するミリングマシンを持つ業者に直接スキャンデータを送信して歯を作製するシステムを、補綴治療、矯正治療において、一部導入を開始しました。歯のデザインも1~2本の少数歯であればDr.自身で行います。本来従来法では歯の細かいデザインは歯科技工士が行いますが、デジタルではデザインだけ行えばあとはジルコニアやセラミックのブロックをミリングマシンが削ってくれるわけですから、全行程を技工士にお願いしなくてもデジタル上のデザインに習熟すれば歯科医師が考える噛み合わせの情報や考えをダイレクトに歯の作製に反映させることができるので、これは従来ではできなかったことができるようになったなあと感じると同時に、なかなか興味深いものだなと思います。

今後、近いうちにいよいよ口腔内スキャナー(口の中を立体的にスキャンする機械)も導入する予定です。デジタルの良いところは、デザインした歯のデータ等が何回でも引っ張ってきて修正したり、いろいろと従来のアナログ技法ではできないようなことも比較的短時間でできてしまい、作製や発注業務などがかなり簡略化されます。そして、そのままそれらのデータを処置前後でPC内にデータ保管、管理ができ、比較や分析なども行い易いと考えます。
そのため、患者さんへのプレゼンテーションにはかなり効果を発揮できそうです。患者さんもどういった歯が出来上がるか、イメージし易いでしょう。
そのあたりが本当にメリットですね。今後しばらくはデジタルでできること、できないことをアナログ、デジタル間で確認、往復しながらデジタルというものを利用していくこととなるでしょう。
 
3、それから、昨年年はじめから導入を開始したEr-YAGレーザーを用いた歯周病に対する治療に効果がかなり出ていると感じております。
この機器をどういう場面で使用するのか簡単に説明すると、
中等度程度の歯周病においてブラッシングの確認や指導、練習や歯周ポケット内の歯石除去などのいわゆる歯周基本治療を行った後、改善されなかった歯周ポケット(4~7mm程度)内の未だ残存している歯石や炎症組織の除去を中心に当レーザーを使用します。
 今まではこのような残存しているポケットに対し歯周外科処置を適用しておりましたが、このレーザーをしっかりと理論を踏まえた上で使用法に習熟することにより、歯周外科処置でないと得られにくい歯周ポケットの改善が、このレーザーによって、手術処置よりかなり低侵襲(患者にとってダメージが少ない)に得られるイメージです。術後も歯周外科処置のように歯肉が減って歯間部に隙間が出来てしまったりと、いわゆる歯周組織の減少が起きにくい状態で、歯周ポケットを浅くできることが Er-YAGレーザーの最大のメリットでしょうか。今年はフル活用することになるでしょう。

4、そしてノーベルガイドプラニング教室大阪での症例の発表(症例相談および症例報告)を継続して行っていくこと。昨年はすべての回で(毎月1回)症例の発表を行いました。
最近ではその取り組みから、プラニング教室大阪塾長の高山賢一先生から、一昨年、昨年にそれぞれ大阪、兵庫合同プラニング教室、デンタルコンセプト21総会での発表の機会を頂き、自身にとっても学術分野において大きくステップアップできた2年間でした。

文章をアップロードする前に読みかえしてみると、少しDr.目線の文章になってしまいましたが、実際のところ歯科医療を提供する側がこだわりを持って良いものを患者さんに提供していくことが最終的には患者利益に繋がると部分は確実にあると思います。
Er-YAGレーザーという器械一つとっても、歯周病の基礎的な部分やこのレーザーの特性や操作方法をしっかりと把握していないと、この器械を使いこなすことはできないでしょう。基本の部分があっての先端医療機器だと思います。
このような地道な取り組み、努力を重ねていくことが医療の質を高めていく、その結果それらが患者さんに還元されることを信じて、今年もコツコツと頑張っていきたいと思います。
最後までで読んでくれてありがとうございます。また長くなってしまいました。。では。

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